増加するドライアイ患者
2017年5月19日号の週刊朝日“新・名医の最新治療のコーナー”によると、ドライアイ研究会が診断基準を10年ぶりに改変したそうです。
涙は目の表面を均一に覆い、雑菌などから眼球を守っています。
ものを正確に像として捉えられるのも涙が均一なおかげです。
ドライアイは、その大事な涙が不安定な状態のことをいいます。
ドライアイの推定患者数は1千万人以上。
「エアコン、パソコン、コンタクトレンズが危険因子です。エアコンによる湿度の低下は涙の蒸発を促し、パソコンなどの作業はまばたきを減らすため涙が乾きやすくなります。さらにコンタクトレンズの装用も涙の蒸発量を増やします」と東京歯科大学市川総合病院眼科教授の島﨑潤医師は言っていて、最近はドライアイの患者が幅広い層で増えているそうです。
今後は、スマートフォンの普及によって、さらに増えていくかもしれないですね。
進化するドライアイ診断
以前は乾燥によって起こる目の表面の傷がなければドライアイと確定できませんでしたが、新基準では、傷の有無は無関係で、患者が訴える症状とBUT(涙液層破壊時間)と呼ばれる検査結果のみで診断が可能となったと記事には書いてありました。
BUTとは、まばたきしない目を開けた状態で、どれくらい涙が表面に保たれているかを見る検査のことで、5秒以内に涙の層の乱れが確認されると「異常」と判定されます。診断基準の改変の理由の一つは、いままで「ドライアイの疑い」と診断されてきた、目に傷はないがBUTが短いタイプに、つらい症状を抱える人が多いことがわかってきたからだそうです。
「現代の環境は誰もがドライアイになっても不思議ではありません。症状は我慢しても決して治りません。ドライアイの裏にうつ病やリウマチなどの病気が隠れていることもあるので、ぜひ眼科を受診してください。適切な治療を受ければ、多くの症状は軽減できます」 と京都府立医科大学病院の横井紀彦先生は呼びかけていました。
ドライアイのタイプと治療法
涙液減少型(涙の量が少ない)
重症(涙が全く出ない)の場合
⇒涙点プラグ挿入術
軽・中等症(正常より涙が少ない)の場合
⇒水分を補充して涙を安定させる点眼薬:ジクアホソルナトリウム
⇒まばたきの摩擦を減らす点眼薬:レバミピド
BUT短縮型(涙の層が崩れやすい)
水濡れ性低下型(黒目の表面に水分がつく力が落ちる)の場合
⇒膜型ムチンを増やし涙を定着させる点眼薬:ジクアホソルナトリウム・レバミピド
蒸発亢進型(水分の蒸発が早い)の場合
⇒どの薬でも効きやすい(ヒアルロン酸点眼薬が第一選択)
皆さんも、パソコンやスマートフォンの長時間使用で、まばたきの回数が極端に減っていませんか?
長時間使用する場合は、適度に休憩を取り、しっかりまばたきをしながら使用するように心がけてみましょう。