腸内フローラが崩れると“バリア機能”が低下!
テレビや雑誌で大きく話題になっている “腸内フローラ”。
NHKガッテン2017年夏号には、腸と口の“フローラ力”で悪玉菌を減らす!という特集が載っています。
特集では、腸内フローラの最新情報を慶應義塾大学医学部の伊藤裕教授が、次のように解説していました。
「私たちの腸の壁には、悪いものが体の内部(血管など)に入らないようにするための“バリア機能” があります。
このバリア機能を正常に保つには腸内細菌の力が必要なのですが、私たちが腸内細菌にとってよくない食生活を送ると、腸内フローラのバランスが崩れて腸が荒れ、バリア機能が低下してしまいます。
すると、腸内細菌が出す毒素など、本来は入ってきてはいけないものが腸の壁を通り抜けて血管に侵入。それらが血管や神経を通じて全身に広がって “悪さ” をすることがあるのです。
その悪さとは、『慢性炎症』と呼ばれる炎症です。
たとえば、すい臓で慢性炎症が起きると糖尿病に、血管で起きると動脈硬化に、脂肪細胞で起きると肥満に伴うさまざまな病気になりやすくなります。」
危険な“慢性炎症”を防ぐには?
では、どうすれば慢性炎症を防げるかというと、1つには腸のバリア機能を正常に保つことであり、そのためには腸内細菌にとっていい食生活を送ること、ということになると思います。
腸内細菌にとってのいい食生活とは、彼らが好きな “えさ”を私たちが食べてあげることです。その “えさ” とは水溶性食物繊維とオリゴ糖です。
水溶性食物繊維が多い食材は、納豆やオクラなどのネバネバ食材や、きのこ類、海藻類、ごぼう、玉ねぎ、大豆などがあります。
オリゴ糖が多い食材は、きなこやはちみつ、甘酒、ごぼう、玉ねぎ、大豆などがあります。
ごぼう、玉ねぎ、大豆は、水溶性食物繊維もオリゴ糖も多いので、積極的に摂りたい食材ですね。
腸だけじゃない!意識したい“口内フローラ”
特集の中で、口内フローラについては、次のように書かれていました。
「じつは腸と同じように、口の中にもたくさんの細菌がいて、『口内フローラ』と呼ばれています。
その数およそ500種類、1000億個!彼らが、口の中に入ってくるインフルエンザなどの悪いウィルスや病原菌を口内にすまわせないようにしてくれています。
とはいえ、口の中にいるのはいい菌ばかりではありません。
口内細菌にも腸内細菌と同じように、善玉菌と悪玉菌があります。
その理想的なバランスは、善玉菌が9割、悪玉菌が1割程度。
健康であればこれが保たれますが、年を取るなどして体の免疫力が落ちると、悪玉菌が増え、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
驚くべきことに、歯周病菌が認知症の人の脳や心筋梗塞を起こした人の心臓など、口以外のさまざまなところから見つかっているのです。
歯周病菌がそれらの病気を引き起こす詳しいメカニズムはまだ解明されていないものの、何かしら “悪さ” をしていると考えられます」
と書いてありました。
歯周病菌は口だけではないということには、驚きですね!
腸内だけではなく、口内も理想的な細菌バランスを目指したいものです。